2022年7月、新型コロナの影響で約2年4か月に渡り運休していたジェットスター航空の東京(成田)-ケアンズ線が、オーストラリア側の規制緩和などを受け、いよいよ運航を再開しました。
コロナ以前はといえば、ケアンズ線は毎日運航していた定番路線で、ゴールドコースト線と並んで日本からLCCでお手軽に行ける人気のリゾート路線でした。
成田-ケアンズ線運航再開
今回、成田-ケアンズ線に乗務されている客室乗務員の志賀麻子さんにお話を伺うことができました。
ジェットスター航空 志賀麻子さん 志賀さんは、CSM(Customer Service Manager:客室サービスマネージャー)兼インフライトトレーナーを務めており、ケアンズ在住ですが、新型コロナの影響で2020年1月から日本に帰国出来なかったとのことです。
―― 2年4か月ぶりに日本路線が再開しました。志賀さんにとっても久しぶりの日本ですが、感想はいかがですか。
「やっと再開されて嬉しい気持ちです。久しぶりに空港からホテルに向かう間の景色を見て、すごく懐かしい気持ちになりました。今まで何年もやっていたフライトですし、同じホテルに泊まって、『戻ってきたね』と仲間で話していました。(2020年3月の)最後のフライトが終わった時点は、”(運休は)2~3か月" と言われていたのですけれど、どんどん伸びてしまいました。今後、もっと活発に両国間の行き来ができるといいなと思っています」
―― 7月20日のケアンズ-成田線に乗務されて、折り返しの出発まで24時間以上の滞在時間がありましたが、どんな過ごし方をしましたか?
「今まででしたら、買い物に行ったり、クルーのみんなでご飯を食べに行ったりするのですが、日本政府の規制がありますので、私たちはホテルから出ることができません。ですので、みんなでホテル内のコンビニで買い物したり、食事をデリバリーしてもらったり。あとは部屋でリラックスして過ごしました」
成田-ケアンズ線 再開初便クルーのみなさん
―― 久しぶりの日本の食事は何を食べましたか?
「昨日は他のクルーと一緒に牛丼です。すき家(笑)を届けてもらいました。他には、食料品や日用品をイオンのネットショッピングを利用しました」
(筆者注:すき家が可笑しいのではなく、照れ笑いしながら答えてくださいました。日本の入国制限はクルーの皆さんにも行動の制限があるということの一端を感じました)
―― (話は変わって)志賀さんは国際線担当の乗務なのですか?
「私が乗務できるのはボーイング787で、ジェットスター航空では787は国際線にしか使っていなかったのですが、オーストラリア国内線の需要が増えて、2021年から短期的に787を国内線に使い始めました。その時期から私も仕事に戻りまして、国内線も乗務しました」
ジェットスター JQ26再開初便―― 2020年3月に日本路線が運休しましたが、他の国際線も同様の措置に?
「そうですね。オーストラリアはかなり厳しいロックダウンをしましたので、国際間の行き来はストップしました。ジェットスター航空に限らず、ほとんどのオーストラリア国内の航空会社が運航を取り止め、または減便しましたので、海外には余程のことがないと行けないようになりました」
国際線出発案内板(イメージ)―― その後、オーストラリア国内のコロナが落ち着いた時には、国内移動は緩和されたのですか?
「だいぶ時間はかかりましたけど、2021年の中頃くらいには州をまたいだ移動ができるようになり、それから急激に国内線の需要が増えました。まずは、州が離れている家族に会いに行くとか、お仕事で移動する方から始まり、今は観光目的で国内・国際線ともに需要も多く、国内線のフライトはいつも満席近くいただいています」
―― 今はオーストラリア国内需要は観光中心なのですね。人気の目的地はどんなところでしょうか。
「メルボルンやシドニーの方には、今は気候がいいクイーンズランド州のケアンズやゴールドコーストなどが人気です。ちょっと前まで学校がお休みでしたので街も賑やかで、オーストラリア人のお客様がたくさん来ていました。ゴールドコーストも賑わっていたみたいです」
ジェットスター航空 就航都市(AU+NZ)―― 穴場的な目的地や、人気が高まってきた目的地はありますか?
「オーストラリアは大きな国ですので、季節によって北部と南部の気候がだいぶ違うんです。7月はオーストラリアでは冬ですが、ケアンズでは半袖で過ごせるような季節ですから、寒い時期に温かいところに行ったり、逆に夏になるとケアンズはとても暑いですから、その時期はタスマニアやメルボルンなどが人気になります」
「最近、メルボルンから運航を始めたバッセルトン線は、西オーストラリアのパース近くで、マーガレットリバーというワイナリーがある都市です。ワインがお好きな方ならワイナリーめぐりがお勧めです。ジェットスター航空は、大きな都市間の運航をメインにやっていたんですが、最近は新たな就航地も増やしています」
(筆者注: マーガレットリバーは、200軒以上のワイナリーが点在し、“オーストラリアのボルドー”と称されるオーストラリアでも随一のプレミアムワインの産地として有名だそうです)
―― ケアンズが初めての方、そしてリピーターだけど2年以上のブランクがある方にお勧めの過ごし方があったら教えてください。
「まずはグレートバリアリーフですね。初めての方は、クルーズ船や1日のツアーもたくさんありますので、グリーン島やフィッツロイ島など滞在して、ビーチでシュノーケリングをしたり、サンゴ礁の方まで行くツアーに参加してみていただきたいなと思います」
キュランダ村キュランダ高原列車 キュランダ駅「また、ケアンズにはもう1つの世界遺産の熱帯雨林もありますので、高原列車やスカイレールに乗って、キュランダでマーケット巡りなどしてみて頂きたいです」
ケアンズ パームコーブとダブル島(上空)「2回目以降の方でしたら、レンタカーを借りて北部のパームコーブやポートダグラスの海沿いドライブも綺麗ですし、ビーチ近くのホテルに滞在されてのんびりされるのもいいかなと思います」
(筆者) 最後に。ジェットスター航空の成田-ケアンズ線の運航再開で、両国の空港で目にした光景は家族や友人との久しぶりの出会いの光景でした。そんな掛け替えのないインフラを支えている姿に素直に感謝の気持ちが湧いてきました。日本からの観光需要はゼロからの回復の途上になりますが、遠くない将来に満席御礼、デイリー運航復活になると確信しています。
志賀さん、ケアンズ線運航業務の忙しい中、お話を伺う時間をいただきまして、ありがとうございました。
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